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AI Engineering Summit Tokyo 2026 Summer — 全講演まとめ

参加日: 2026-06-08 / 作成日: 2026-06-10 出典: 現地で撮影したスライド写真186枚の文字起こし(一部スライドは撮影範囲外のため講演タイトル・登壇者が不明なものあり) 公式: https://ai-engineering-summit-tokyo.findy-tools.io/2026-summer (produced by Findy Tools、#AIE2026_findy) 関連: ai_agent_identity_標準化2026code_design_quality_metrics_frameworkllm_product_clean_architecture_設計ai_agent_9社_本番運用アーキテクチャ


0. 要点(3行)

  • 全体を貫くテーマは「AIの賢さではなく、AIを使い切るための周辺整備(ハーネス・定義・評価・ガバナンス)が勝負」。カカクコム・MCD3・AIX・Databricks が異口同音に「決定論的なチェック」「人間による定義」「評価ループ」を本番運用の核に挙げた。
  • 最大の目玉は カカクコムの価格.com AIフルリプレイス「DODAI」(752リポジトリ・800万行のC#/ASPを18ヶ月でPython/FastAPI/htmxへ、71体のサブエージェント3層構成、保険カテゴリを134時間/$6,921で自走構築)と、Greptile の AI生成PR品質の大規模実測(マージPRの27.6%が完全AI著者、Codex/ClaudeのRevert率は人間より低い)。
  • セキュリティ/ガバナンス系(yamory のサプライチェーン、ベースマキナの AIdentity / Action-based・Intent-aware 認可)は、ai_agent_identity_標準化2026 でまとめた国際標準化の議論がそのまま国内実務に降りてきていることを示した。

1. 講演一覧

# 講演(社名) テーマ 写真範囲
1 OpenAI Codex中核のレガシー移行(Refactory)・FDEを超えるスケール 4613–4618
2 yamory(アシュアード) AI時代のサプライチェーンセキュリティ 4620–4635
3 Glean Enterprise Context(企業/個人グラフ+メモリ) 4636
4 Gen-AX 音声AIエージェント(X-Ghost)の品質検証をAI電話で自動化 4637–4641
5 ダイキン工業 D-Arc: 変数着目の網羅的コードレビューAI 4643
6 ALGOMATIC AI面談の3つの敵(誤読・誤解・誤爆) 4644
7 NEC 設計書生成×匿名化レビュー(レビューの目的が変わった) 4645–4648
8 ベースマキナ 高橋誠二 AIエージェントのデータガバナンス/AIdentity 4649–4653
9 カカクコム 京和崇行CTO 価格.com AIフルリプレイス「DODAI」 4654–4671
10 Cognition シバタアキラ AI駆動型ソフトウェアエンジニアリング 4672–4673
11 Databricks (Edwards Chase) Building GenAI Systems that Scale 4675–4681
12 Greptile AI生成PRの品質を実測する(Revert率・レビュー指摘) 4682–4691
13 STRACT 宇佐美ゆう 20人で100億円規模コマースのE2E AI-Native 4692
14 MCD3 CTO室 レガシー(Green-Site)へのハーネスエンジニアリング 4693–4711
15 Databricks Japan(パネル) 本番品質エージェント・セマンティックレイヤー・Unity AI Gateway 4712–4723
16 MNTSQ 清水健吾 Langfuse による LLM Observability 基盤 4724–4750
17 ai& 原信平 エージェント時代の推論インフラ(4層co-design) 4751–4766
18 AIX 井上聖司 月2億円の広告予算を自律運用するFDE実装記 4767–4797
19 Cline Cline SDK / Core V2 アーキテクチャ 4798–4804

2. 注目講演の詳細

2-1. カカクコム「DODAI」— 価格.com AIフルリプレイス(最重要事例)

規模: 創業約30年・抜本刷新なしのC#/Classic ASP。752リポジトリ/1,353画面/C# 800.9万行+ASP 161万行/13,210テーブル/最大単一ファイル11,350行。

体制とワークフロー: 5フェーズ(現行分析→アーキ設計→詳細設計→実装→受入テスト)× 3層エージェント(Orchestrator → Step Group → Sub Agent、計71体)。P2(アーキ設計)のみ人間レビュー必須。

Anthropicの「長時間稼働5つの失敗パターン」への対応設計(このマッピングが秀逸):

失敗パターン 対応
Context Rot 3層構造で作業単位ごとに文脈を分離
Premature Completion AI向けに責務と粒度を絞った構造化仕様書
Lossy Compaction 実行とは別AIによる工程単位の独立レビュー
Shallow Plans 成果物とテスト通過を機械判定する完了ゲート
Generous Self-evaluation 現行と同等になるまでのE2E自律改善ループ

同等性保証: 仕様項目にID付与してPhase1〜4を追跡+決定論的チェッカーで「AIの嘘」を弾く。最終QAはDocker実起動・Playwright E2E・新旧DOM/スクショ/値のディファレンシャルテスト→差分を「修正対象/許容/環境起因」に分類。

成果(2026/5時点・保険カテゴリ): 実行134時間/$6,921/生成3.6万行/サブエージェント呼び出し1,959回/E2Eテスト5,629個。新旧コード比較では保険カテゴリで43.4%削減(古い実装ほど偶有的複雑性の削減幅が大きく、本質的複雑性は残る=意図通り)。

コスト・選定・組織: 設計者の月額AI利用料 440万円(将来は月1,000万〜数千万規模の可能性)。技術選定は Python + FastAPI + htmx(「広く浅く」のサービス特性+AIフレンドリーな言語体系)。ワークフロー自体も Tracer で観測し自己改善 Skill 化、Claude Code → Codex の移植性も確保。組織面はビジョン「次の30年を支える土台(DODAI)」、キックオフ資料レビュー約10回、行動原則4つ(オーナーシップ/AI中心/部分最適しない/過去を否定しない)。目標は2027年9月(理想は30周年の2027年5月)。

2-2. Greptile — AI生成PRの品質を実測(データが面白い)

  • マージPRのうち完全AI著者の割合: 0.86%(2025/2)→ 27.6%(2026/4)
  • Revert率(/1,000 merged PRs): Codex 1.19 / Claude 1.80 / human 2.72 / Cursor BG 3.41 / Devin 3.50
  • PRサイズ別: 1ファイルではAIが+12%悪いが、10+ファイルでは−28%でAIが優位(「単一指標を一視点で見るな」)
  • P0指摘(致命)/PR: Devin 0.038 / Codex 0.041 / Claude 0.078 / human 0.099 / Cursor BG 0.145
  • 失敗パターン(human比): Claude は sql injection 1.50×・stale comment 1.69× が弱点。Devin はほぼ全項目で人間以下。Cursor BG は n+1 query 3.45× が突出
  • マージまでの平均レビューラウンド: Devin 2.11 < Claude 2.19 < human 2.21 < Cursor BG / Codex 2.46

code_design_quality_metrics_framework の「速度と品質デルタをペアで見る」の実データ版。エージェントごとに弱点プロファイルが違うので、ハーネス側チェッカーをエージェント特性に合わせる発想が成り立つ。

2-3. MCD3 CTO室 — レガシーへのハーネスエンジニアリング

対象は Green-Site(12万社が使う安全書類管理、Java/Spring Boot + jQuery、約8,500ファイル・約9,500型宣言)。「ハーネス整備はAIの安全装置であり、知識の偏りを減らす仕組み」。5要素:

  1. 環境の制約: design.yaml を source of truth に(目的/方針/境界/AC/テスト)。YAML作成まではバイブス許容、以降は Skill で定型化。フロントは Playwright CLI / DevTools MCP で都度確認
  2. 継続的フィードバックループ: Skill/hook で「指摘ゼロになるまで」のレビューループ(最大3回程度)
  3. エージェント向け知識整備: レビュー・調査の発見を inbox に貯め、curate で curated knowledge へ。Frontmatter にスコープ(paths/features)・lookup・検証元・日付を持たせて次回参照可能に。方眼紙Excel は markitdown+PDF経由で Mermaid/MD 化(「そもそもエージェントに必要か」で取捨選択)。Claude Code の「重要な発見です」を作業中に起こさせないための事前ナレッジ蓄積
  4. 明確で強力な境界: レガシーに境界はない前提で、切り離せるものから分離・ファサードモダナイゼーションで「境界を作っていく」。新規は Rust で言語レベルの境界強化も検討
  5. 壊れたら気付ける検証: テストはピラミッドでなく寸胴型(AIで自動テストの維持コストが低下したため。E2Eのみコスト設計が必要)

結論:「レガシーは攻略できる。ただしAIに直させるだけでなくハーネスの整備を。属人化も薄まり仕事が変わる。既存システム・既存担当者へのリスペクトを」

2-4. ベースマキナ — AIdentity と Action-based / Intent-aware 認可

  • エージェント時代の脅威 Top10(目標ハイジャック/ツール濫用/ID・特権濫用(Confused Deputy)/サプライチェーン/記憶・コンテキスト汚染/エージェント間通信/連鎖障害 等)
  • Data-centric(RAG時代)→ Action-centric(エージェント時代)のガバナンス移行: 統制対象が「プロンプト・文書」から「API・DB・CLI操作」へ。手段は Agent Identity / MCP Gateway / Runtime Authz / Approval / Audit
  • AIdentity(Agentic IAM)の課題: 人間IDの代理利用(操作の識別不能)/権限の過大化/委任の曖昧さ/高速実行で人間承認が困難/Shadow・Rogue Agent
  • 認可モデルの適合度: Session-based(低)→ Role-based(低〜中)→ Action-based(高)→ Intent-aware(最高・今後の研究/製品化領域)。intent-aware はモデルジャッジか専用ポリシーエンジンになる見込み

ai_agent_identity_標準化2026 §5(IBAC/TBAC/pre-action)と同じ流れが国内プロダクト文脈で語られた。EIC/IETFの議論が実務に降りる速度が早い。

2-5. AIX — 月2億円の広告予算を自律運用(FDE実装記)

  • 20人が手動運用していた6媒体・月2億円(Yahoo!/Google/META/LINE/SmartNews/Bytedance)。1年伴走FDE(PM+エンジニア1〜2名)。CPA暴発で数百万円が溶ける事故が年数回 →「広告運用なら仕方ない」を覆す
  • フェーズ1はあえて非AI: 「良質な予算消化/悪質な予算消化」というKPI定義と一元管理画面(アドゴリラ)で、AIゼロのまま月2,000万円の暴発を削減。「属人性を消す最初の一手はコードじゃなく定義」。人間の"様子見"(深夜はCPA許容を広げる等)を設定可能パラメータへ翻訳
  • 本番事故: 止めたはずのキャンペーンが動き続けた(階層理解の浅さ+「システムが止めてくれる」への過信)→ 4層防御(担当者ロジック/グローバル強制ストップ/Slackアラート/人間の最終監視)。「自動化の裏で人間の監視能力は必ず落ちる前提で設計」
  • フェーズ2: 仮説エージェント+結果エージェント+人間が後承認。完全自律ループは「開発コスパで今はやらない」判断。システム化で打席数1.5倍、AIの結論は「様子見パターンは無視してガチャ的に入稿を回す方が良質消化が増える」(長年の直感を覆す)
  • 成果: 暴発削減 月2,000万円/24時間運用/1年トータル約5億円。メッセージ: 「AIの前に『定義』がある」「エンジニアは"作る人"から、現場を理解しキー変数を決め定義をシステム化しAIに渡す人へ」

2-6. yamory — AI時代のサプライチェーンセキュリティ

  • 英AISI調査: AIが32ステップの攻撃(人間なら約20時間)を初完遂、攻撃能力は約1.5年で5倍。ただし基本的な多層防御で約8割は止まる
  • CVSSベーススコアの限界 → 生成AIで「自社環境での実現可能性」込みのリスクベース判定が実用化。Medium脆弱性の組み合わせ(エクスプロイトチェーン)が脅威に。「個別CVEから経路へ」
  • 金融庁・日銀 2026/5/22 要請(Project YATA-Shield の金融版): 9つの短期対応 = 体制(経営課題化)→特定(優先システム・技術負債)→実行(人・ベンダー契約)→運用(リスクベースのパッチ・多層防御)→備え(停止対応・外部連携)。「全部を均等に守る」でなく「重要度で絞りリスクで優先順位」
  • 実例: axios CVE(週5,000万DLのSSRF連鎖)と Shai-Hulud(npm 640+パッケージの自己複製ワーム、SBOMには正常な依存として記録される)→ cloudflare_2026_サプライチェーン攻撃リスク と同じ事例群
  • 検知される脆弱性の約95%が間接依存(Endor Labs)。攻撃面は開発環境(IDE・エージェント・MCP)/CI/CD/運用の「線」へ

2-7. Databricks ×2 — Reference Architecture と本番化の現実

Edwards Chase(グローバル): - Agentic System Reference Architecture: Governed Enterprise Context + Agentic Core + MCP層 + 評価ループ(Golden Dataset→Evaluation→Quality Improvement)+ Human in the Loopllm_product_clean_architecture_設計 の構成要素とほぼ一対一 - 「AI adoption is a behaviour-change problem」: ツールはプロダクト。CUJ設計・UX・ロールアウト計画・期待値調整(confidence score 開示) - 「最もレバレッジが効くAIは自組織向け」: まず社内で正しく作り、ガバナンス付きでデータ・エージェントを共有 - KARL(custom-RL の enterprise-knowledge agent)が Opus 4.6 / GPT 5.2 等よりコスト・レイテンシ・品質でパレート優位という主張 - 事例: Flo Health(医療安全ルールに対する自動評価で承認済み回答2倍)、KPMG UK(初の認定GenAI監査ツール、精度>90%、200人を3ヶ月でアップスキル)。「Scaling GenAI is craftsmanship, done in stages

Japan パネル: - 本番化の現実: パイロットの40%以上を本番移行できた企業は25%、ガバナンス成熟は21%(Deloitte 2026)、2027年末までに40%超のエージェントプロジェクトが中止見込み(Gartner) - 成功要因: 業務プロセス再設計(BCG 10-20-70)/高ROI領域から段階導入/ガバナンス・運用統制/評価と継続改善(AgentOps)/実績あるパートナー(外部連携は約67%成功、内製はその1/3 — MIT NANDA) - セマンティックレイヤーが「エージェントに文脈を与える必須の土台」へ格上げ(メトリクス定義・synonyms・lineage・ABACポリシー等の6要素)。「足りないのは知能ではなくコンテクスト」 - エージェントの意図しないデータアクセスを80%の企業が経験(SailPoint 2025)→ ユーザー代理認証(on-behalf-of)と Unity AI Gateway による一元化

2-8. MNTSQ — Langfuse セルフホストの実装記(手を動かす人向けに最有用)

  • 動機: リリース後「ユーザーが何を聞き、AIが何を返しているか」が見えない → LLM Observability
  • AWS構成: ECS Fargate(Web/Worker)+ ClickHouse + Aurora PostgreSQL + ElastiCache + EFS + S3。Terraform 約2,320行・41ファイル
  • ClickHouse の置き場所が肝: Cloud(運用最小・高コスト)/EC2+EBS(公式推奨に近い)/Fargate+EFS(公式実装だが性能不利)。EFS は Read/Write 96% のコストで1→4月に12倍増(データ1.98GB→155.62GB)という落とし穴
  • SSO: IAM Identity Center 非対応 → Cognito を挟んで SAML→OIDC 変換
  • 運用: トレースIDをアプリDB主キーと紐付け(@observe() で trace_id 指定)、アプリに「メッセージIDコピー」UI → CS問い合わせから即トレース到達。「Langfuseを見守る会」(週次でリクエスト数/コスト/p50/p95/エラー率+個別ケース確認)。ハルシネーション起因の問い合わせを数分で切り分けた実例
  • 今後: LLM-as-a-Judge のオンライン評価で「デグレに最速で気づける守り」→攻めの改善、非エンジニア(ドメインエキスパート)がLangfuse上でプロンプト改善を完結

2-9. ai& — エージェント時代の推論インフラ(4層 co-design)

  • Applied Intelligence = Capacity(学習)× Act(推論)× Loop(自己改善)。推論は latency(how fast)と throughput(how much)
  • 4層スタック: Model(量子化 FP8で2倍/FP4で4倍のデコード速度)→ Engine(vLLM/SGLang/TensorRT、PD分離=prefill(compute-bound)とdecode(memory-bound)を別GPUへ、Speculative Decoding)→ Silicon(H100/H200/MI300X、ボトルネックに合わせた異種混在クラスタ)→ DC/Grid(容量はメガワット単位、日本は約2GW vs 米50GW・中国40GW)。「1層直すとボトルネックは下の層へ移る → 4層co-design」
  • 試算: 日本人1人に100エージェント×100万トークン/日 = 1日10京トークン ≒ B300サーバ10億台 ≒ 1TWの電力(現状の2万倍/500倍)— エージェント時代の推論需要の桁感

2-10. その他の講演(要点のみ)

  • OpenAI: Codex を中核に SKILLS+カスタムツールで構築。レガシー移行ツール「Refactory」デモ(358スライスの移行ダッシュボード・COBOL風依存グラフ・同等性検証)。マルチエージェントのインシデント分析(仮説生成→RCA→対話分析)。「FDEを超えてスケールする仕組み」=実験→プロダクト化→拡張
  • Glean: Enterprise Graph(組織の関係マップ)+ Personal Graph(個人の仕事文脈)+ Enterprise/Personal Memory の4点セットで「Enterprise Context」を構成
  • Gen-AX: 音声エージェントの品質検証を「人間が電話をかける」から「MCPでAIに通話手段を与えてAIがE2E検証する」へ。リアルタイム音声AIでなく「①聞く(文字起こし)②考える(推論モデル)③話す(TTS)」構成を採用(制御性優先)。テキスト検証→通話検証→音声そのもの(感情・間)の3段階展望
  • ダイキン D-Arc: 変数を機械抽出し「何に着目するか」をプロンプトで与える網羅的レビュー(変数別+全体レビューの2系統)
  • ALGOMATIC: AI面談の3つの敵 = 誤読・誤解・誤爆(もぐら叩き的に発生)
  • NEC: 医療系で最大コストは生成でなく「匿名化の残留を人手で確かめる作業」。レビューは2層(残留チェック≫妥当性チェック)。「正しさのチェック」から「説明できることのチェック」へ — Kohl & Carro "When Code Becomes Abundant"(ICSE-FoSE 2026)の "Accountability Collapse" を引用
  • Cline: Cline SDK / Core V2(@cline/shared→llms→agents→core→apps の5層、stateless agentic loop と stateful orchestration を分離)。SDK/CLI/IDE が同一コアを共有(CLIで開始→VS Codeで再開)。Terminal Bench で Cline CLI + claude-opus-4.7 = 74.2%(Claude Code 69.4% より高い)と主張

3. 横断テーマ(5つ)

  1. 「AIの前に定義がある」: AIX のKPI定義、カカクコムの構造化仕様書、MCD3 の design.yaml、Databricks のセマンティックレイヤー — 全員が「人間が定義を固め、AIに渡す」構造
  2. 決定論的チェックでAIの嘘を弾く: カカクコムの決定論的チェッカー+完了ゲート、MCD3 の検証機能、Gen-AX のE2E通話検証 — code_design_quality_metrics_framework の「二段ゲート」がそのまま実務標準に
  3. 評価・Observability が本番化の分水嶺: Databricks の評価ループ、MNTSQ の Langfuse、Greptile の品質実測 — 「測れないものは運用できない」
  4. ガバナンスは Data-centric から Action-centric へ: ベースマキナの Runtime Authz / intent-aware、Databricks のユーザー代理認証・Gateway 一元化、yamory のリスクベース運用
  5. FDE(Forward Deployed Engineering)の台頭: OpenAI・Databricks・AIX が揃って「現場に入って定義から实装まで回しきる人」を成功要因に。エンジニア像の変化(作る人→定義してAIに渡す人)

4. 自分に活かせること(アクション)

  1. DODAI型の失敗パターン対応表を自分のワークフローに移植: Anthropic 5失敗パターン×対策のマッピングは、research-orchestrator や長時間 Claude Code セッションの設計にそのまま使える(claude_code_long_session_guide に追記候補)
  2. MCD3 の curated knowledge 方式を Vault に導入検討: inbox→curate→Frontmatter(scope.paths / lookup / validated_by)は、自分の tech-note スキルの発展形。「重要な発見です」を事前ナレッジで潰す発想は memory 運用にも効く
  3. design.yaml(目的/方針/境界/AC/テスト)テンプレ: 大きめの実装を Claude Code に投げる前の作業契約として導入価値あり
  4. Greptile データの含意: Claude は sql injection / stale comment が相対的に弱い → 自分のレビュー hook・security-review の重点項目に反映。小さいPRこそ人間が見る(1ファイル変更はAIが+12%悪い)
  5. Langfuse は ClickHouse の置き場とEFSコストに注意: 将来 temporal-workflows 等に observability を足すならこの実装記が最短経路(ローカルは docker-compose で即試せる)
  6. 研究との接点: Glean の Enterprise/Personal Graph、Databricks セマンティックレイヤーは「組織知識のKG化」そのもの。修論のKG×GNNの応用先イメージとして引用できる

5. 読むべきもの・フォロー候補

  • Greptile Blog — AI PR品質の実測データを継続発信(feeds 追加候補)
  • Langfuse Blog / Docs — LLM Observability のデファクト化が進む(feeds 追加候補)
  • Cline Blog — SDK/Core V2 の OSS 動向(feeds 追加候補)
  • MNTSQ Tech ブログ — Langfuse×AWS の実装詳細(IAM Identity Center→Cognito SSO 等)
  • tubone BOYAKI — Langfuse セルフホスト実装の先人ブログ(MNTSQ が参照)
  • Kohl & Carro, "When Code Becomes Abundant"(ICSE-FoSE 2026)— "Accountability Collapse"。NEC講演の理論的背景
  • 金融庁・日銀「フロンティアAIによる脅威変化を踏まえた金融機関等の短期的な対応について」(2026-05-22)— 9つの短期対応の原文
  • 英 AI Security Institute 評価(2026)— AI攻撃能力の定量評価
  • SailPoint「AIエージェントの導入に伴う新たなリスクに関する実態調査」(2025)

6. まとめ — 一言で

「賢いAI」は前提になった。差がつくのは、定義(人間が決める)・ハーネス(決定論で縛る)・評価(測り続ける)・ガバナンス(actionで統制する)の4点セット。 価格.com の71体エージェントも、AIX の月2億円自律運用も、勝因はモデルではなく「AIを使い切る周辺の設計」だった。


注: 本ノートはスライド写真の文字起こしに基づく。引用数値は撮影スライド上の表記であり、各社の公式発表・登壇資料の公開版と差異がある可能性がある。


作成: 2026-06-10 / 最終更新: 2026-06-16