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国内 SaaS の MCP 対応動向(2026年)— freee・マネーフォワード・Slack / Salesforce と「日本の SaaS 100社」調査

作成日: 2026-09-27 出典: freee・マネーフォワード・Salesforce の公式プレスリリース、Zenn「日本の SaaS 100社の MCP・API 対応状況を調べてまとめた【2026年4月版】」 関連: 社内saasデータ統合基盤_ai活用_事例比較_整理 / 社内mcp共通基盤_認証認可ログ_整理 / stripe_toolshed_minions_社内mcpとコーディングエージェント_整理 / layerx_コーポレートエンジニアリング_smarthr起点abacとn8n_整理


0. 要点(3行)

  • 一言で: 「社内 SaaS のコネクタを自作する時代」から「SaaS 側が公式の MCP を出す時代」に移りつつある。会計(freee・マネーフォワード)と Slack / Salesforce が先行し、どれも自社クラウドでホストするリモート MCP に寄せている。
  • ただし国内 SaaS 100社の調査では、公式 MCP は約20%、第三者 MCP 約15%、API のみ約45%、手段なし約20%(2026年4月、民間調査)。人事労務は API はあっても MCP が少なく、法務・契約(電子署名)は MCP ゼロ。
  • 社内で使う側にとっての論点は、各 SaaS の MCP を個人のエージェントに直接つながせるか、社内ゲートウェイで束ねるか。公式 MCP が増えるほど、認証・権限・監査が SaaS の数だけ散らばる。

1. 各社の動き

timeline
    title 国内 SaaS の MCP 対応(公式発表ベース)
    2025-10 : マネーフォワード クラウド会計 MCP β(士業事務所向け)
    2026-03-02 : freee が freee-mcp を公式 OSS 化(約270 API)
    2026-03-26 : マネーフォワード クラウド会計 リモート MCP を全プランへ
    2026-03-27 : freee-mcp リモート版を提供開始
    2026-07-16 : Salesforce が Slackbot と Salesforce をつなぐ MCP サーバー群を日本で発表

Slack 公式 MCP サーバーの GA(2026年2月)は二次情報のみで、公式の日付は本ノートでは未確認のため年表から外した。

1-1. freee — 個人 OSS を公式に引き継ぐ

項目 内容
公開 2026-03-02、MCP サーバー「freee-mcp」を OSS として公開
経緯 freee のエンジニアが個人で開発・公開していた freee-mcp を、会社が公式 OSS として引き継ぎ、継続的に保守・機能拡充すると決定
範囲 会計・人事労務・請求書・工数管理・販売など約270本の API を MCP ツール化
リモート版 2026-03-27 発表。freee がサーバーをホストし、Claude.ai の設定画面から URL を足すだけで使える。freee にログインして利用
安全面 「誤った URL を追加すると情報漏洩の可能性がある」と注記。今後、ChatGPT・Claude Connectors などのマーケットプレイスからも安全に使えるよう認証基盤を拡充する計画
リポジトリ https://github.com/freee/freee-mcp

その後9領域(IT管理・申告・固定資産・開業を追加)に広がったという情報が検索結果にあるが、本ノートでは公式ページを未確認。

1-2. マネーフォワード クラウド会計 — β から全プランへ

項目 内容
経緯 MCP サーバーは β 版としてプラチナランク以上の公認メンバー士業事務所向け、API はシルバーランク以上向けに限定提供していた
全プラン化 2026-03-26、リモート MCP サーバーと外部連携 API を全プランに公開
できること 仕訳入力、帳簿検索、データ確認、レポート作成など。API はまず「仕訳データの参照・登録」「試算表の参照」から
対応クライアント Claude Desktop、Claude Code、Claude Cowork、Cursor、Gemini CLI など
方式 β 当初からリモート MCP(自社クラウドで構築)。ユーザーは環境構築なしに接続設定だけで使える
今後 MCP 経由の認証時間の延長、再認証の自動化、取引明細の操作、部門別集計表などレポートの拡張
サポート API・MCP の仕様や実装の問い合わせは原則対応しない(公認メンバーの士業事務所は除く)
先行事例 会計事務所が Claude と複数の Skills を組み合わせ、一部の顧問先で入力からレビューまでの自動化を実現

1-3. Salesforce × Slack — Slack を「マルチプレイヤー AI OS」に

2026-07-16 に日本で発表(米国は 2026-07-09)。

flowchart LR
    User[社員] -->|Slack で自然言語| Bot[Slackbot<br>MCP クライアント]
    Bot --> SFMCP[Salesforce MCP<br>レコード閲覧・更新・Flow]
    Bot --> D360[Data 360 MCP<br>統合顧客プロファイル]
    Bot --> Tab[Tableau Next MCP<br>リアルタイム分析]
    Bot --> Partner[パートナー MCP 25社以上<br>Atlassian・Zapier・Lattice ほか]
    Bot --> Agents[パートナーのエージェント<br>Anthropic・Box・DocuSign ほか]
    Bot -.->|更新系は必ず| HITL[ユーザー認証<br>ヒューマンインザループ]
論点 発表内容
権限 Slackbot は各社の Salesforce 環境のカスタムオブジェクト・独自フィールド・権限構造を自動認識し、入力規則とユーザー権限を守ってアクセス。Data 360 / Tableau の MCP もユーザー権限とデータアクセス制御を遵守
更新操作 データ更新などすべての実行操作にユーザーの認証を求める「ヒューマンインザループ」設計
透明性 やり取りは共有チャンネル上で行われ、チーム全員が見られる(Shopify River の「公開チャンネル限定」と同じ発想)
管理 既存の Slack と Salesforce の接続で自動認証。単一の管理画面から Salesforce MCP サーバーの検索・導入・管理
提供条件 Slackbot MCP Client は日本で GA。Salesforce 提供の MCP Server は Enterprise Edition 以上で GA。Slack MCP Registry(MCP 対応アプリの集約、25以上)
社内実践 Salesforce 社内 IT で、1,500名以上のエンジニアが使う開発環境のカスタムコーディング工数を大幅削減(定量値は記載なし)

2. 国内 SaaS 100社の MCP・API 対応状況(民間調査)

Zenn「日本の SaaS 100社の MCP・API 対応状況を調べてまとめた【2026年4月版】」より。公式ドキュメント・GitHub・npm・公式レジストリ等を2026年4月に調査したもの(個人・民間による調査で、数値は概数)。

pie showData
    title 国内主要 SaaS 100社の MCP 対応(2026年4月・概数)
    "公式 MCP" : 20
    "第三者 MCP" : 15
    "API のみ" : 45
    "手段なし" : 20
カテゴリ 主なサービス 状況
会計・財務 freee、マネーフォワード、弥生、Misoca ◎ 最も充実
人事・労務 SmartHR、KING OF TIME、ジョブカン △ API は充実、MCP は少ない
プロジェクト管理 Backlog、kintone、Redmine ◎ kintone が最も積極的
コミュニケーション Chatwork、Slack、LINE WORKS ○ Chatwork 公式 MCP、Slack 対応
EC Shopify、BASE、楽天、Amazon △ 第三者 MCP が中心
法務・契約 CloudSign、GMO サイン、LegalOn ✕ MCP 対応ゼロ
CRM・営業 Sansan、HubSpot、kintone ○ Sansan 公式 MCP
マーケティング SendGrid、Mailchimp △ グローバル MCP のみ

エージェント側から見た3つの問題(同記事): 1. 発見: MCP サーバーが GitHub の個人リポジトリに散在し、公式 MCP レジストリに日本の SaaS はほぼ未登録 2. 評価: 何ができるか・認証・レート制限・既知の問題が機械可読になっていない 3. 組み合わせ: 「freee で仕訳 → Chatwork に通知」のような複数サービスの連携パターンがまとまっていない

同記事は、MCP と API 直叩きを混ぜた「レシピ」の例を挙げている(入社手続き: SmartHR API → freee MCP → KING OF TIME API → Chatwork MCP)。MCP だけのカタログでは、人事系の API のみのサービスが抜けてレシピが成立しない。

記事の後半は筆者の自作 MCP(KanseiLink)の紹介。本ノートでは調査結果部分のみを採用。


3. 社内で使う側の設計論点

flowchart TB
    subgraph PatternA[A 直結型]
        UA[社員のエージェント] --> M1[freee リモート MCP]
        UA --> M2[MF リモート MCP]
        UA --> M3[Slack / Salesforce MCP]
    end
    subgraph PatternB[B ゲートウェイ型]
        UB[社員のエージェント] --> GW[社内 MCP ゲートウェイ<br>認証・認可・監査・ツール絞り込み]
        GW --> N1[freee]
        GW --> N2[マネーフォワード]
        GW --> N3[SmartHR API<br>MCP なし]
    end
観点 A 直結型 B ゲートウェイ型
導入の速さ ◎ URL を足すだけ △ ゲートウェイの構築・運用が要る
権限 各 SaaS の権限にそのまま依存(本人の全権限がエージェントに渡る) ゲートウェイで用途別に絞れる(Stripe Toolshed の「サブセット配布」)
監査 SaaS ごとにバラバラ 1か所に集約(社内mcp共通基盤_認証認可ログ_整理)
退職・異動 SaaS ごとの失効に依存 IdP グループで一括失効(エアークローゼット・LayerX 型)
MCP が無い SaaS 使えない API ラッパーを足して同列に扱える
更新操作の安全性 SaaS 側の HITL 設計次第(Salesforce は必須化) ゲートウェイで更新系だけ承認必須にできる

比較は各事例からの一般論で、実測ではない。小規模・会計だけなら A、SaaS が多く人事や顧客データを含むなら B が向く、というのが自分の見立て。


4. まとめ

一言で: 「SaaS 側の公式 MCP は増えたが、統制はまだ使う側の仕事」。

状況 推奨
会計の定型業務をまず自動化したい freee / マネーフォワードのリモート MCP を少人数で試す
Salesforce + Slack を使っている Slackbot の MCP 連携。更新系は HITL が標準で入る
人事労務・電子署名もつなぎたい MCP が無い前提で、API ラッパーを社内ゲートウェイに足す
全社展開したい 直結ではなく社内ゲートウェイで束ね、権限の源泉を IdP グループに一本化

参考リンク

  • freee「freee-mcp を OSS として公開」(2026-03-02): https://corp.freee.co.jp/news/20260302freee_mcp.html
  • freee「freee-mcp のリモート版の提供を開始」(2026-03-27): https://corp.freee.co.jp/news/20260327freee_mcp.html
  • freee-mcp(GitHub): https://github.com/freee/freee-mcp
  • マネーフォワード「クラウド会計 リモート MCP サーバーを全プランで提供開始」(2026-03-26): https://corp.moneyforward.com/news/release/service/20260326-mf-press-1/
  • マネーフォワード クラウド 開発者サイト MCP: https://developers.biz.moneyforward.com/mcp/
  • Salesforce「Slack を AI オペレーティングシステムへと進化させる新たな MCP サーバーを発表」(2026-07-16): https://www.salesforce.com/jp/news/press-releases/2026/07/16/new-mcp-servers-ai-data-in-slack/
  • Zenn「日本の SaaS 100社の MCP・API 対応状況を調べてまとめた【2026年4月版】」: https://zenn.dev/kanseilink/articles/a316f473d8d506

作成: 2026-09-27 / 最終更新: 2026-09-27